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イメージによるダメージ

 アルバイト先のパン屋で突然Xちゃんが、「Aちゃんは、果物に喩えると苺だね」と愛くるしい容姿のAちゃんに向かって言った。Aちゃんは少しはにかみながら、「そうかなぁ」と照れ笑いを浮かべた。
 「Bちゃんは、バナナ」
 「バナナ?」
 「バナナは嫌かも」
 「でも、元気だから、バナナ」
 Xちゃんは、Bちゃんは「バナナである」と引かなかった。その二人のやり取りを聞きながら、密かに私は「ヤバイ」と思っていた。その場に居たのは、Aちゃん、Bちゃん、Xちゃん、私の四人。次は、私が何かに喩えられるに決まっている。私はそのことに気づいて身構えた。すると、やはり口元に意味深な笑みを浮かべながらXちゃんは、私をマジマジと見つめた。そして、言い放った。「アメリカンチェリーに似ている」と。
 「アメリカンチェリー?」
 私は、「チェリー」でいいだろう、何で「アメリカン」がつくんだと抗議したい気持ちでいっぱいだった。アメリカンチェリーは、さくらんぼよりも黒い。けれど、Aちゃんも、Bちゃんも、Xちゃんの言葉に頷いている。それを見て、抗議する気が失せた。もういいし。拗ねた私は、その後何もなかったかのように淡々とパンを店先に並べ始めた。
 そんなことがあってから、1週間ほど経った頃だっただろうか。私の誕生日間近のある日。私は友人と三ノ宮で待ち合わせをしていた。待ち合わせ場所にすでに着いていた友人が紙袋を提げているのが、遠くから見えた。
 「久しぶり」
 お茶を飲もうということになり、私たちは行きつけの喫茶店へと向かうことにした。その道中。友人は、「先に渡しとく」と、私にその紙袋を差し出した。
 「お誕生日、おめでとう」
 「ありがとう」
 受け取った私は、中を見て驚いた。
 「何、これ?」
 「えー。お花。チョコレートコスモスっていうんだって」
 友人がくれたコスモスは、チョコレート色、つまり茶色だった。
 「そういうイメージだから」
 「え?」
 どんなイメージだというのか、私は。先日は、「アメリカンチェリー」と言われ、今日は長年の友人に「チョコレートコスモス」と言われた。要するに、腹黒いイメージということなのだろうか。味が苦手で、私は珈琲がほとんど飲めない。だが、「ブラック珈琲を毎日ガバガバ飲んでいそう」と人から言われたこともある。どうやら自分のイメージは、「黒っぽい赤」「黒っぽい茶」「黒」らしい。
 イメージを変えたいと思って、「何で、黒っぽいイメージなのか。黒っぽいイメージから脱却するには、どうしたらいいのか?」と考え続けているものの、答えは未だ出ていない。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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