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10代に読んでおいたら良いな、と思う本(第5回)

◆アルバイトや仕事を手がかりにする
◇松岡圭祐著『ミッキーマウスの憂鬱』(新潮文庫)
 「千里眼シリーズ」で名高い著者の手になる、ごく普通の青春小説。東京ディズニー・リゾートの舞台裏が舞台ということで、興味深く読んだ。ただ、主人公が余りに青すぎ、最初は少々閉口した。が、流石、松岡氏。最後のミッキーマウス救出作戦エピソードではハラハラドキドキできっちりと読者を楽しませる。
 この著者の『千里眼シリーズ』(角川文庫)は出来不出来が多少あるものの、全巻読んでも決して損はしない。因に『クラシックシリーズ8 ヘーメラーの千里眼 完全版』が私にとってのベストだ。テーマはズバリ自衛隊の存在意義を問うもの。国防に純粋に命を賭そうという人たちがいて、初めて私を含む愚民はのうのうと生きていられる。自衛隊の存在を「悪」だという紋切り型・一元的な批判に対する一つの答えだと思う。

◇有川 浩著『シアター!』(メディアワークス文庫)
 しっかり者の兄・司、甘えん坊で苛められっ子だった弟・巧。その弟が役者バカで貧乏に取り憑かれ死んでいった父親の血を継いだのか、役者に目覚め、劇団を主宰している。ある日、巧が司に300万円の借金を願い出る。劇団が今までに出した累積の赤字だ。司は300万の2年返済を条件に、劇団「シアターフラッグ」に関わっていく。そして……、という話だ。司の手法はビジネスの在り方を劇団経営に当てはめていくというものだが、その一つ一つがもっともで、説得力がある。明るく楽しいだけの青春小説の仮面を被った作品であるが、ビジネス的思考の入門書として読むこともできる。なお、続編の『シアター!〈2〉』も発売されている。
 有川氏の小説で他にお薦めしたいのは、様々な人間模様——本当に些細なこと——が阪急今津線を媒介として繰り広げられる『阪急電車』(幻冬舎文庫)。また、『図書館戦争』(角川文庫)もお薦めする。「可愛い」話なんだろうな、と思ってページを開くと、間違いなく裏切られる。一言で言えば、近未来内戦潭。伊藤計劃の描く広大無比な世界とはベクトルが全く違うが、これは非常に優れた「戦争SF小説」以外のなにものでもない。2019年に成立した『メディア良化法』。それを遵守させるべく出版物の検閲、没収等を任務とする「良化特務機関」。そして、その尻馬に乗る有象無象。それらに敢然と立ち向かうのが「図書館」だ。物語は、主人公のピュアな恋愛劇を底流に「図書館」側と『メディア良化法』との闘いを描く。作者の人物造形がずば抜けている。活き活きと、この物語世界で生きている。呼吸をしている。だから、面白くない筈がない。是非、全巻を楽しんでいただきたい。

 さて、私のブログは年内最後となりました。そこでミネルバネオの年末年始の営業日のお知らせです。年内は28日まで、新年は4日より営業いたします。良いお年をお迎え下さい。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

・当ブログの内容について、無断掲載、転用を禁じます。

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