10代に読んでおいたら良いな、と思う本(第8回)

◆歴史小説を手がかりにする
◇和田 竜著『のぼうの城 上・下』(小学館文庫)
 「『戦いまする』三成軍使者・長束正家の度重なる愚弄に対し、予定していた和睦の姿勢を翻した『のぼう様』こと成田長親は、正木丹波、柴崎和泉、酒巻靱負ら癖のある家臣らの強い支持を得て、忍城軍総大将としてついに立ちあがる。『これよ、これ。儂が求めていたものは』一方、秀吉に全権を託された忍城攻城軍総大将・石田三成の表情は明るかった。我が意を得たり、とばかりに忍城各門に向け、数の上で圧倒的に有利な兵を配備した。後に『三成の忍城水攻め』として戦国史に記される壮絶な戦いが、ついに幕を開ける(Bookデータベースより)」。
 著者はそれぞれのエピソードを、その度に出典を明らかにするという一風変わった書き方をしていて、それに慣れるのに一苦労した。ところが、下巻になり城攻めの段になると、ページを繰るのがもどかしくなる。それぞれのシーンが視覚的で、まるで映画の戦闘シーンを見ているような、正に、痛快時代劇!

◇池上永一著『テンペスト 全4巻』(角川文庫)
 「19世紀の琉球王朝。嵐吹く晩に生まれた真鶴は、厳しい父の命に従い、男として生まれ変わることを決心する。名を孫寧温と改め、13歳の若さで難関の科試を突破。憧れの首里城に上がった寧温は、評定所筆者として次次と王府の財政改革に着手する。しかし、王室に仕える男と女たちの激しい嫉妬と非難が寧温の前に立ちはだかる…。伏魔殿と化した王宮を懸命に生き抜く波瀾万丈の人生が、春の雷のごとく、いま幕を開けた(Bookデータベースより)」。
 波瀾万丈の物語だが、何とも不思議な語り口を持った小説だ。所々に顔を出す「琉歌」という和歌にも似た歌も不思議な効果をあげている。「物語としての面白さ」は抜群で、一気に読める作品だ。

 現在(2012年2月1日時点)は文庫になっていない。だが、是非読んでほしい本を1冊。
◇冲方 丁著『天地明察』(角川書店)
 2010年本屋大賞第1位、第31回吉川英治文学新人賞受賞。江戸時代、幕府のお抱え囲碁師であり数学者でもあった渋川春海が主人公。囲碁よりも数学に目のない彼は、幕府の要人等から一目を置かれ、まず、日本全国で北極星を天測する北極出地(地球上の日本の位置を正確に定めるために北極星の高さ〈角度〉を実地で測定すること)に携わる。そしてその人脈から、新しい暦の制定という大仕事をまかされることになる。回りにいる先達や天才たちに励まされながら、一途にその仕事を成し遂げようと奮闘する。時代は戦国時代を抜け、正に太平の世の中。武士の生き方、国の在り方にも当然変化が起こる。守旧派と改革派の鬩ぎあいの狭間で、様々な困難を乗り越え、遂に「大和暦」を新しい日本の暦とするまでが描かれる。迷い、戸惑い、それでもなお一途であること、そして何かを成し遂げるまでの不屈の精神、その素晴らしさを再認識させてくれた小説である。映画化され、公開を控えている作品でもある。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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