10代に読んでおいたら良いな、と思う本(第12回)

◆芸術家を手がかりにする
 最後にご紹介する2冊の本は小説ではない。しかし、途轍も無く熱いものを伝えてくれるに違いない。

◇岡本太郎著『今日の芸術〜時代を創造するものは誰か』(光文社知恵の森文庫)
 「『今日の芸術は、うまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない』。―斬新な画風と発言で大衆を魅了しつづけた岡本太郎。この書は、刊行当時、人々に衝撃を与え、ベストセラーとなった。彼が伝えようとしたものは何か? 時を超え、新鮮な感動を呼び起こす『伝説』の名著、ついに復刻(Bookデータベースより)」。
 本書には、凄まじいアジテーションが詰め込まれている。発刊は1954年と古い。しかし、ここで彼が語っている言葉は輝いている。直截的な物言いで、本質をずばり突くような本には、今時めったにお目にかかれない。まさに、10代の時にこそ読むべき本だと、私は思う。

◇ドウス昌代『イサム・ノグチ〜宿命の越境者 上・下』(講談社文庫)
 これは凄まじい労作だ。現存する書簡、公文書、渡航記録、関係者へのインタビュー、イサム・ノグチが世界各国に残した作品など、あらゆる素材への徹底したアプローチから、「宿命の越境者」の真の姿に迫る。1904年11月、日本人の詩人・野口米次郎を父に、アメリカ人レオニー・ギルモアを母としてアメリカで誕生した。米次郎は文学バカで生活能力のない人であった。彼のアメリカでの詩の校正、出版社との仲介を勤めたのがレオニーであった。米次郎はイサムを籍に入れず、結局イサムはアメリカ国籍を持った「日系アメリカ人」として苛酷な差別の中で育つ。その環境が、彼を引き裂く。アメリカにおいては「日本人」と言われ、日本においては「アメリカ人」と呼ばれる。彼の立ち止まることなく疾走した84年間は、自分のアイデンティティ探しの旅だったのだ。そして、この引き裂かれた自己こそ、彼の創作の原動力でもあった。彼の晩年の言葉が私の心に響く。「今、世の中は何でもインスタントになりすぎている。文化の中でも一番新しいものばかりおもしろがり、次から次へ先ばかり追いかける。それはとても危ない。なぜなら、人間はそういうものじゃないからです。人間は何年もかけて文化を形づくるようにできている。そのことをもう一度よく見つめ直さねばならない時代にきているのじゃないですか。日本だけでなく、世界がね……」
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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