石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」005
私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。
● 堀江敏幸『河岸忘日抄』
2005年作品。
不思議な読後感。勿論エンターテイメントではないから、次はどうなるんだろうとか、主人公はこの苦境をどう脱するんだろうとか思いながらページを目まぐるしく繰るような小説ではない。
だから、相当時間がかかった。いや、かけた、と言う方が正確か。毎晩、就寝前のひととき、ソファに寝っ転がって数ページ読んだ。主人公の思索をなぞるように言葉を追う。言葉が静かに入り込んでくる。何かを考えさせるのではなく、何も考えない状態。ただ言葉と静かに戯れる。尖っていた神経が円やかになっていく。この過程が良い。決して「退屈」とか「面白くない」というのではない。逆に、「面白すぎる」位だ。本を閉じ、寝室へ。気持ちの良い眠りが私に訪れる。名付けて「睡眠誘導本」。売らずにしばらく側に置いておこう。
次回は、村上春樹著『1973年のピンボール』の予定です。
● 堀江敏幸『河岸忘日抄』
2005年作品。
不思議な読後感。勿論エンターテイメントではないから、次はどうなるんだろうとか、主人公はこの苦境をどう脱するんだろうとか思いながらページを目まぐるしく繰るような小説ではない。
だから、相当時間がかかった。いや、かけた、と言う方が正確か。毎晩、就寝前のひととき、ソファに寝っ転がって数ページ読んだ。主人公の思索をなぞるように言葉を追う。言葉が静かに入り込んでくる。何かを考えさせるのではなく、何も考えない状態。ただ言葉と静かに戯れる。尖っていた神経が円やかになっていく。この過程が良い。決して「退屈」とか「面白くない」というのではない。逆に、「面白すぎる」位だ。本を閉じ、寝室へ。気持ちの良い眠りが私に訪れる。名付けて「睡眠誘導本」。売らずにしばらく側に置いておこう。
次回は、村上春樹著『1973年のピンボール』の予定です。