石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」009
私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。
● 堀江敏幸『おぱらばん』
1998年作品。
『河岸忘日抄』の前哨戦のような作品集。
基本的にはエッセイに分類される作品群だが、読後感は非常に高品質の私小説を読んだ後の感じに似ている。時にユーモラスに、時にシリアスに。著者の筆さばきは自由自在だ。歳若い著者のフランス留学中の身近な出来事と、著者の読書体験とが有機的に結ばれて行く瞬間、ミステリにおける謎解きに近い興奮を覚える。1編1編が宝石のような輝きを放っていて、私が特に感銘を受けたのは、『貯水池のステンドグラス』という1編。ゲラシム・リョカという詩人を巡る話だ。
因に「おぱらばん」とは在佛中国人の持つ「中佛簡易単語対照辞典」に唯一記載されている「以前」をさすフランス語のこと。通常フランス人はその言葉を使わないので、中国人を揶揄するジョークとして使われているらしい。
★モシャの呟き
最初、題名を『おばはん』と読み間違えました。似ているような、全然違うような。
● 堀江敏幸『おぱらばん』
1998年作品。
『河岸忘日抄』の前哨戦のような作品集。
基本的にはエッセイに分類される作品群だが、読後感は非常に高品質の私小説を読んだ後の感じに似ている。時にユーモラスに、時にシリアスに。著者の筆さばきは自由自在だ。歳若い著者のフランス留学中の身近な出来事と、著者の読書体験とが有機的に結ばれて行く瞬間、ミステリにおける謎解きに近い興奮を覚える。1編1編が宝石のような輝きを放っていて、私が特に感銘を受けたのは、『貯水池のステンドグラス』という1編。ゲラシム・リョカという詩人を巡る話だ。
因に「おぱらばん」とは在佛中国人の持つ「中佛簡易単語対照辞典」に唯一記載されている「以前」をさすフランス語のこと。通常フランス人はその言葉を使わないので、中国人を揶揄するジョークとして使われているらしい。
★モシャの呟き
最初、題名を『おばはん』と読み間違えました。似ているような、全然違うような。