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石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」024

 私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。

● 村上春樹『国境の南、太陽の西』
 1992年作品。
 一言で言えば、ミドルエイジ・クライシスを描いた作品と言えるだろう。題名にそのヒントがある。「国境の南」は初恋の相手、島本さんと一緒に聴いたナット・キング・コールのレコードに入っている歌だ。
 主人公は決定的に失われたものとして認識していた12歳の時の初恋の相手、(足の悪い)島本さんと25年を経て突然のように再会する。何不自由ない暮らし。妻と2人の娘。それらを投げ打っても良いと思えるほど、彼女を求める。そして、彼女と愛を交わした翌日、彼女は永遠に消えてしまう。彼は彼女を再び「決定的」に失ってしまったのだ。彼は、言葉にできない「虚ろ」を胸に秘めながら、一端失われようとしていた「現実」の世界へ戻っていく。恐らく、再会した(足の悪くない)島本さんは、主人公が創りだしたイリュージョンだったのだろう。彼はその「幻の女」に心の底から愛を語り、現実の幸福を全て投げ打ち一体になりたいと願い、そして成就する。彼が今までしたくても出来なかったこと。その翌日、彼女は忽然と消えてしまう。これによって、やっと彼は過去の亡霊(自分の昇華しきれない思い)から自由になったように思われた。しかし、もう一つ、彼がとことん損なわせてしまった「イズミ」——彼女の従姉との衝動的な性欲の交歓の結果、別れてしまった高校時代の彼女、表情をうしなってしまった彼女の存在が不穏な行く末を暗示するかのように彼の前に現れ、消えていく。「国境の南」の幻想は消えた。
 「太陽の西」には何が待ち受けているのだろう?

★モシャの呟き
 ミドルエイジ。要するに、中年ですよね。
 最近、ぼんやりグルメサイトを眺めていると、「熟成牛」という言葉をよく見かけます。そして、その度になぜか一瞬ドーンと落ち込んでしまう、中年のモシャです。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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