石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」026
私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。
● 白石一文『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』
2009年作品。
著者は骨太のストーリーを展開する傍ら、突然のようにテクストを挟み込み、それに対して主人公が考察した自らの意見を発表するという変わったスタイルをとる。
読後、私はこんなことを考えた。「神」は人間が創った抽象概念であるが、「神的」なものはあるのだろう。恐らくそれは宇宙(と私たちが呼んでいるもの)を拡張させるベクトルを持ったエネルギーそのもの。だから、その過程で生まれた人類などは、確かにそのエネルギーの「発露」の一部ではあるが、「思惟」の一部とは呼べない。エネルギーは思惟などしない。だから、主人公(著者)の思考は、ある時点で人間に還元せざるを得なくなるのだ。もっとも人間が読む、人間のための文学なのだから、それは必然ではあるのだが。
さて、主人公は様々なテクストを基に、思索を重ねて行くのだが、暴力的と形容したくなるほどの物語の展開があり、急転直下、北海道での静謐な生活を暗示して幕を閉じる。題名の意味はラスト近くにやっと見えてくる。
この作品は、過去と未来とかへ逃げ込もうとする私たちの怯懦に対する徹底した挑戦状だ。
日本文学で、久々に刺激的な作者と作品に巡り会った。
★モシャの呟き
絶対に違うと思いますが、上記「暴力的と形容したくなるほどの物語の展開があり、急転直下、北海道での静謐な生活を暗示して幕を閉じる」から、どんな物語なのかを想像してみました。
主人公がたまたま社員旅行で訪れた北海道のとある川で同僚と釣りを楽しんでいる最中、背後から熊に襲われ、格闘。たまたま近くを通りかかった射撃の名手であるマタギ、「竹口力(riki takeguchi)」に助けられ、事なきを得る。しかし、その時のことをどうしても忘れられず、2年後の冬、主人公は会社を退職し、北海道の山奥に一軒家を購入。主人公は竹口の弟子として静かに暮らしつつ、時折Vシネマでも活躍。得意技は取り立て。
色々混ざってますが、以上です。
● 白石一文『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』
2009年作品。
著者は骨太のストーリーを展開する傍ら、突然のようにテクストを挟み込み、それに対して主人公が考察した自らの意見を発表するという変わったスタイルをとる。
読後、私はこんなことを考えた。「神」は人間が創った抽象概念であるが、「神的」なものはあるのだろう。恐らくそれは宇宙(と私たちが呼んでいるもの)を拡張させるベクトルを持ったエネルギーそのもの。だから、その過程で生まれた人類などは、確かにそのエネルギーの「発露」の一部ではあるが、「思惟」の一部とは呼べない。エネルギーは思惟などしない。だから、主人公(著者)の思考は、ある時点で人間に還元せざるを得なくなるのだ。もっとも人間が読む、人間のための文学なのだから、それは必然ではあるのだが。
さて、主人公は様々なテクストを基に、思索を重ねて行くのだが、暴力的と形容したくなるほどの物語の展開があり、急転直下、北海道での静謐な生活を暗示して幕を閉じる。題名の意味はラスト近くにやっと見えてくる。
この作品は、過去と未来とかへ逃げ込もうとする私たちの怯懦に対する徹底した挑戦状だ。
日本文学で、久々に刺激的な作者と作品に巡り会った。
★モシャの呟き
絶対に違うと思いますが、上記「暴力的と形容したくなるほどの物語の展開があり、急転直下、北海道での静謐な生活を暗示して幕を閉じる」から、どんな物語なのかを想像してみました。
主人公がたまたま社員旅行で訪れた北海道のとある川で同僚と釣りを楽しんでいる最中、背後から熊に襲われ、格闘。たまたま近くを通りかかった射撃の名手であるマタギ、「竹口力(riki takeguchi)」に助けられ、事なきを得る。しかし、その時のことをどうしても忘れられず、2年後の冬、主人公は会社を退職し、北海道の山奥に一軒家を購入。主人公は竹口の弟子として静かに暮らしつつ、時折Vシネマでも活躍。得意技は取り立て。
色々混ざってますが、以上です。