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石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」050

 私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。

● 長岡弘樹『傍聞き』
 2008年上梓。
 あっというようなトリックで驚かせるようなミステリではない。一言で言えば「ヒューマン・ミステリ」とでも言おうか、ある人物が取った不可解な行動が、基本的に他人を思いやるがための行動だった、という収斂のしかたをする。だから、第一印象はミステリっぽくない。しかし、読後、作者がいかに用意周到に物語を書き進めたのかが分かる。
 『迷走』では救急隊員の隊長が怪我人を乗せたままの救急車の進路に対し、不可解な動きを命ずる。運転手も主人公もその意図が分からない。しかし、そこにはもう1人の急病人を救うという使命感があった。
 日本推理作家協会賞短編部門受賞作品である『傍聞き』はその仕掛けがが二重になっている。捕らえられている人間と女性刑事との間で交わされる会話を『傍聞き』させ、真犯人を自首させるという仕掛けと、女性刑事の娘が、親娘喧嘩を言い訳として出す自宅の母親宛のはがきの住所を、ワザと紛らわしい筆跡で書き、裏に住む盗みに入られた老女に『傍聞き』として事件の進捗状況を知らせるという手の込んだ仕掛けだ。これには唸った。
 『899』では、子供を事故で失った消防隊員が、DVを受けているらしき子供を消火の現場で咄嗟に隠匿し、故意に発見を遅らせることにより、母親に子供のかけがえのなさを再認識させる。
 『迷い箱』では、子供を殺してしまい、刑期を終えた元囚人の奇妙な行動とその決断に激しく心が揺れる。どれも、読後、何か温かいものが胸に残る一級の短編であった。

★モシャの呟き
 『899』ですか。数字が題名になっていると、意味深ですね。もし私が小説家なら、『9625』という小説を書いてみたいです。内容は…考えておきます。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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