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石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」052

 私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。

● 中村文則『土の中の子供』
 2005年上梓。
 第133回(平成17年度上半期) 芥川賞受賞作品。
 この作品を何と形容すれば良いのだろう。幼年時、圧倒的に力の強いもの(=親)から、圧倒的な暴力(≒死)を受けた青年が主人公だ。彼の受けた暴力(≒死)は想像を絶する。マンション2階から投げ落とされる、山奥に生き埋めにされる……。何故、親は彼にそんな仕打ちをしたのか。それは一人称で語られるこの物語では詳(つまび)らかにされない。埋められた時には、それに抗う力が強く、まるで生誕を繰り返すように、土の中から、土の産道を通り抜け、彼は再び生きる道を選んだのだが、彼の心の深奥には、土に抱かれた時に感じた子宮に浮かんでいるような、絶対的な安寧とも言える感覚が巣食っている。それを希求するように、彼はわざと死に直面するような生き方をしている。死を内包した恐怖を恐れながら、それを希求する。そんなアンビバレントな「生」を生きる青年。それでも生き続けようとする青年。「生きる」ということの意味を根源的に問い続けているような存在。そんな青年の姿を、ただただ淡々と描いた作品だ。彼に会いたいという父親に背を向けて歩き去る彼は、何処へ行こうとしているのだろう?
 読んでいる間中、『タクシードライバー』の主人公トラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)が思い出されてしかたがなかった。

★モシャの呟き
 もしかすると、主人公の親の前世は、「獅子」ですかね。マンションの2階から子を落とすなんて、「獅子流教育」以外に有り得ないんですが。
 そして、そんな酷い仕打ちにあっても生き延びている主人公の前世は、おそらくスティーヴン・セガールだと思います。って、まだスティーヴン・セガールは生きていますよね…。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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