石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」059

 私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。

● 中村文則『最後の命』
 2007年上梓。
 この作品を読了した途端、何故か白石一文の作品を思い出した。恐らく、中村文則も白石一文も「思索する作家」だからだろう。中村文則のこの作品も、物語は思索するための「取っ掛かり」に過ぎない。物語りながら思索する。思索するために物語を紡ぐ。どちらが卵で、どちらが鶏かわからないが、とにかくそんな風に、私には思われた。
 ある事件がきっかけで、2人の少年の心に産みつけられた不穏な卵。それが別のベクトルを持った形で孵化し、それぞれの人生に大きな影を落とす。本当にその事件が2人の人生を狂わせる端緒だったのか? その事件は単なる「きっかけ」に過ぎなかったのではないか? 本質的にその気質は「既に擦り込まれていた」のではないのだろうか? それならば、人間はどう生きれば良いのか?
 主人公は、強姦殺人者として追われる立場になった冴木という友人と自分の生き方とをトレースしながら、人間の存在意義について思索を続ける。物語は一定の終焉を迎えるが、当然それらの思索に明確な答えは出る筈もなく、読後も読者は渾沌のまま置き去りにされる。その放置感が、恐らく次の作品へと私を向かわせる。

★モシャの呟き
 「思索する作家」ですか。もし、私が作家なら、なんと呼ばれたいかを考えてみました。
 ズバリ、「地上最後の文豪」です。どこかで聞いたようなフレーズですね…。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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