石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」061

 私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。

● 真梨幸子『ふたり狂い』
 2009年上梓。
 これは素晴らしい連作短編集だ。ひとつひとつの作品の出来もさることながら、それぞれの短編が意表をつくリンクで結ばれ、全体として素晴らしい長編ミステリになっている。
 『エロトマニア』——熱情精神病、あるいは恋愛妄想。ほとんど接触がない相手に一方的な恋愛感情を抱き、自分も愛されているという妄想が全生活を縛り付ける症状。『クレーマー』——いいがかりそのものが目的の病的なものと、慰謝料が目的の恐喝型に分かれる。『カリギュラ』——効果。禁止されると、ついその行為をやってみたくなる心理状況。『ゴールデンアップル』——伝説。都市伝説のひとつで、1970年代に存在したという幻の炭酸飲料。『ホットリーディング』——霊感、超能力、占いなどを行う際にスタッフを使って事前に相手のことを調べておき、あたかも霊感や超能力などで相手のことを読んだと思わせる方法。(⇔コールドリーディング)。『デジャヴュ』——既視感。『ギャングストーキング』——集団ストーキング。人を雇って、標的となる人物の妄想、悪評、トラブル等を捏造または演出し、社会的評価を失墜させたり、病院送りにしたりする行為。『フォリ・ア・ドゥ』——感応精神病、あるいはふたり狂い。妄想を持った人と親密になったり共同生活をしたりしているうちに、正常な人まで妄想を共有すること。
 それらが、「実」の世界を「虚」の世界へと誘う。そして読者はラストでアッと叫ぶのだ。「虚」だと思っていたものが「実」で、「実」と思っていたのが「虚」だった。いやいや、それだけでは終わらない。
 著者の創りだす虚実織り交ぜた迷宮の中で、読者は立ち尽くす。何も信じられない。何が正しいんだ? そして、それが途轍も無い快感なのだ、ミステリ好きには……。

★モシャの呟き
 「ゴールデンアップル」は、ファンタだそうです。
 ネットで調べていると、ゴールデンアップルは実在したのでは、という気がしました。
 本当は、どうなんでしょうね。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

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