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文章「バレンタインデー」・漫画「ダメな私」

 高校1年生の時、バレンタインデーに彼氏にプレゼントするため、セーターを編んだことがあります。
 しかし、なぜだか出来上がったセーターはかなり大きく、私はどうするか悩みました。
 そんな日曜日の夜、首席で高校に入学したクラスメイトで学級委員長を務める男友達K君から、電話がかかってきました。
 私たちはいつものように、お喋りを楽しんでいました。そして、私は「そうだ、K君は賢いから、大きすぎるセーターをどうしたらいいか、私に教えてくれるかもしれない。それが無理でも、あわよくば、私の彼氏に『アイツがお前のために編んだセーターや。かなりデカイけど、着たれや』などとフォローしてもらえるかも」と考え、大きすぎるセーターについて相談してみたのです。
私 「バレンタインに渡そうと思って、セーター作ってんけど、めっちゃ大きいねん。どうしよ」
K君「お前、セーター作れんねんや。すごいなぁ」
私 「いや、でも、大きいねんて。どうしたらええと思う?」
K君「うーん…ハサミで切ったらええんちゃうか」
私 「…。ハァ? そんなんしたら、ほどけるやん!」
K君「そうなんか…知らんかった。でも、切って、縫えばええんちゃうか?」
私 「いや、それ、無理やわ」
K君「うーん。でも、アイツはお前が作ったセーターやったら嬉しいに決まってるんやから。とりあえず渡しとけや!」
私 「えー?!」
K君「まぁ、渡しとけや!」
私 「…」
 となり、結局私は大きすぎるセーターを彼氏に渡すことになりました。
 が、大きすぎるセーターゆえ、大きすぎる箱に入れねばならず、学校で彼氏に渡すまでに、大変な苦労をしました。
 私はバレンタインデー当日、大きすぎるセーターが入った大きすぎる箱を大きすぎる紙袋に入れて、駅から学校への道を歩いていました。もちろん、いつものように、遅刻ギリギリの時間です。すると、私の姿を見た、通りすがりのクラスメイトたちは、皆、一様に、「お前、それなんや?」と紙袋を指差してきました。「バレンタインデーのセーターや」と私が答えると、一人の男子が「それ、校門で先生に捕まるで」と真っ当な発言をしてくれました。そこまで私は考えていなかったため、「どうしよ」と悩みました。しかし、近くに居た女子が、「みんなで囲えばわからんやろ」と言ってくれたため、数人の男女に囲まれた状態で私は校門をくぐり、校門に立っていた先生のチェックをすり抜けることができたのです。なんか、今、書いていて不覚にも『スイミー』を思い出し、泣きそうになりました。とにかく、私は皆に礼を言い、颯爽と教室へ向かいました。
 しかし、苦難はこれだけでは、ありませんでした。
 私は、教室の自分の机に空いている穴(教科書とかを入れておくための場所です。)に大きすぎるセーターが入った紙袋を入れるつもりでした。しかし、どうしても入りません。
「お前、これ、なんや?」
 大きすぎる紙袋と格闘してる私を見かねたのか、気づけば横に男友達のT君が立っていました。
私 「セーターやねんけど、入れへんねん。どうしよ」
T君「いや、そこは絶対無理やろ。入らん」
私 「でも、どっかに入れな先生に見つかる」
T君「うーん。あ、あっこに入れろ!掃除用のロッカーやったら、入るやろ。俺、椅子を倒して時々押さえとくし」
 たまたま教室の一番後ろに置いてある掃除用ロッカーの前の席だったT君の助言に従うべく、私は紙袋をロッカーの中に入れるために苦戦していました。
 すると、その時、私たちの様子を見ていた別の男子が、「やばい、(担任の)先生くるで!」と教えてくれました。私は紙袋をどうにか入れ、T君はバシャンと力強くロッカーの扉を閉め、私に向かって微笑みました。そして、私たちが、かなりあわてふためいていたため、彼氏を含めたクラスメイト全員が、掃除用ロッカーの中にセーターが入っていることを知っている状態で、朝のホームルームが始まりました。
 しかし、またもや苦難はやってきました。
 担任が、今日の予定などを私たちに告げているその時、突然、掃除用ロッカーの方から、ガシャン、ガシャ、ガシャという大きな音が聞こえてきたのです。
 担任はロッカーを見、私はもうダメだ思いながら、T君の方を見ました。すると、T君は、薄笑いを浮かべて、私を見つめ返してきました。もう、終わりだ。ロッカーの扉を先生に開けられる。私は、観念しました。けれど、担任は結局、ロッカーの扉を開けることなく、教室を去ってくれました。
 なんと、クラスメイト全員がまるで何も聞こえなかったかのように、シレッとした態度をとってくれたのです。
 そして、その後T君は、まるで自分の荷物が入っているかのように心配そうに扉を開け、「よし、これでいけるはずや」と位置をなおしてから、再度扉を閉めました。
 皆さんのご協力があり、私は無事、大きすぎるセーターを彼氏に渡すことに成功しました。その節は、ありがとうございました。
 ちなみに彼氏は「家で1回着てみてんけど、デカイから、膝掛けにしてる」と言っていました。 さぞや重い膝掛けだったことでしょうね…。
 愛の重みですよ。さぁ、存分に召し上がれ。
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 次回のモシャブログは、文章「なりたいもの」・漫画「005シリーズ なぜ刑事に?」の予定です。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

・当ブログの内容について、無断掲載、転用を禁じます。

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