石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」086
私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。
● ローレンス・ブロック/田口俊樹・訳『八百万の死にざま』
1982年の「マット・スタガー」シリーズ5作目で、アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞受賞作だ。このシリーズは過去に2冊読んでいる。1991年の9作目『倒錯の舞踏』と、1994年の12作目『死者の長い列』。前者は、このシリーズを読もうという気に私をさせ、後者はもう読まなくてもいいかと私に思わせた。そして、そのまま読まずにいた。だが、このシリーズのみならず、ネオ・ハードボイルドというジャンルの中でも非常に評価の高い、ブロックの代表作といわれるこの作品を読まずにこのシリーズの評価を下してしまうのは、怠慢の誹りを逃れないような気がした。そこで本書を探し色んな本屋さんを巡り、今年になって、やっと13刷を見つけることができた。
訳者である田口氏の力も大いに貢献しているのだろうが、出だしのキムとスカダーの出会いの場面は、「あぁ、ハードボイルドの文章はこうあってほしいものだなぁ」と思わず溜め息が出る程の素晴らしさだ。また、9作目、12作目のように、親密なガールフレンド、アルコールから遠ざけてくれる助言者、暴力的解決を手伝ってくれる親友は、まだいない。そして、この作品でのスカダーは常にアルコールの誘惑に晒されながら、事実のフラグメントの有機的な繋がりを求め、様々な人たちと会話を続ける。そんな彼の姿は、どうしようもないほど、孤独だ。それでも愚直なまでに、その孤独と対峙しようとする。このスタンスこそが、ハードボイルドなのだ。また、今作での彼への仕事の依頼人であり、サイド・ストーリーの主人公である(と私的には思うのだが)ヒモのチャンスが、私には非常に魅力的な人物として映った。
★モシャの呟き
いいですね。ハードボイルド。
私がもし、男だったなら、孤独な夜にバーでストレートのウイスキーをあおってみたいです。
実際の私は、舌がピリピリするので、ストレートでウイスキーを飲めませんが。
● ローレンス・ブロック/田口俊樹・訳『八百万の死にざま』
1982年の「マット・スタガー」シリーズ5作目で、アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞受賞作だ。このシリーズは過去に2冊読んでいる。1991年の9作目『倒錯の舞踏』と、1994年の12作目『死者の長い列』。前者は、このシリーズを読もうという気に私をさせ、後者はもう読まなくてもいいかと私に思わせた。そして、そのまま読まずにいた。だが、このシリーズのみならず、ネオ・ハードボイルドというジャンルの中でも非常に評価の高い、ブロックの代表作といわれるこの作品を読まずにこのシリーズの評価を下してしまうのは、怠慢の誹りを逃れないような気がした。そこで本書を探し色んな本屋さんを巡り、今年になって、やっと13刷を見つけることができた。
訳者である田口氏の力も大いに貢献しているのだろうが、出だしのキムとスカダーの出会いの場面は、「あぁ、ハードボイルドの文章はこうあってほしいものだなぁ」と思わず溜め息が出る程の素晴らしさだ。また、9作目、12作目のように、親密なガールフレンド、アルコールから遠ざけてくれる助言者、暴力的解決を手伝ってくれる親友は、まだいない。そして、この作品でのスカダーは常にアルコールの誘惑に晒されながら、事実のフラグメントの有機的な繋がりを求め、様々な人たちと会話を続ける。そんな彼の姿は、どうしようもないほど、孤独だ。それでも愚直なまでに、その孤独と対峙しようとする。このスタンスこそが、ハードボイルドなのだ。また、今作での彼への仕事の依頼人であり、サイド・ストーリーの主人公である(と私的には思うのだが)ヒモのチャンスが、私には非常に魅力的な人物として映った。
★モシャの呟き
いいですね。ハードボイルド。
私がもし、男だったなら、孤独な夜にバーでストレートのウイスキーをあおってみたいです。
実際の私は、舌がピリピリするので、ストレートでウイスキーを飲めませんが。