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アスファルトの道の上

 阪神淡路大震災の数日後。
 街は壊れていました。
 壊れた街の、亀裂が入ったアスファルト。そのアスファルトの道の上、グレーのフェイクファーコートを纏った私は、短い期間だけ付き合った元彼氏から、ペットボトルの水を数本貰いました。
 水は2リットルでした。
 「どこかに行くことになったら、絶対に連絡先を教えて」とその人は私に言いました。
 頷きながら、しかし私は多分連絡先を教えないんだろうな、と思いました。
 1才年下の、男前で、背が高いその人は、こんな時でも相変わらず男前で背が高く。一方私はノーメイクで、しかもコートの中はパジャマでした。
 私は、「会うのはこれで最後にしよう」となんとなく思いました。元々嫌いで別れたわけではありませんが、なんとなく。
 と書くと、「は? じゃあ、元々なにが原因で別れたんだよ。で、なんで会うのをこの日で最後にしたんだよ」とこの文章を読んでおられる方々は、思われるかもしれません。
 とにかく、振ったとか振られたという、一般的な感じで別れたのではないので、困りました。何をどういう風に書けばいいのか、私にはわかりません。別れると私が決めた時、私はその人から「(モシャは)畳の上では死ねないぞ」と言われました。私は「いやはや。私は多分畳じゃなくてベッドの上で死ぬだろう」と思いながら、その人の元を去りました。
 ちなみに、地震から数年経ったある日のこと。とある場所で、私はその人にバッタリ会いました。その人は「あれから彼女が出来て、同棲している」と言いました。
 1才年下の、男前で、背が高いその人は、相変わらず男前で背が高く。一方私はなぜかその日に限って、普段は着ない、ズドンとした形のダボダボのワンピース姿。しかもその頃、ジャズシンガーのカサンドラ・ウィルソンにハマっていて、髪はロングのチリチリパーマでした。
 ふと思ったのですが、もし、今、道でバッタリ出会ったら、1才年下の、男前で、背が高いその人は、年を重ねても相変わらず男前で背が高く。一方私は、髪の毛はボサボサで腹が出ているという感じですかね。
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プロフィール

●ミネルバネオ代表 石橋武
【経歴】
1974年/立命館大学経営学部を卒業し、㈱大阪読売広告社に入社
1994年/現代文講師出口汪氏と大学受験予備校S.P.Sを立ち上げるべく、㈱大阪読売広告社を退社。㈱ミネルバ代表取締役として、大阪、後に東京で大学受験予備校S.P.Sを経営。
2002年/大阪のS.P.Sにて、出口氏が開発した教材「論理エンジン」を使用した個人のお客様向け添削業務や国語特訓塾、学校様・塾様向けの「論理エンジン」販売や指導方法のレクチャーを開始。
2007年5月/㈱水王舎代表取締役に就任し、「論理エンジン」営業のみならず、書籍の企画・販売にも携わる。
2011年2月、㈱水王舎代表代表取締役を退任。
2011年8月/ミネルバネオを設立
趣味は読書、映画鑑賞。MC中心のお笑いオヤジバンドの一員でもある。

●共同執筆者(ペンネーム:モシャ)プロフィール
甲南大学を卒業しました。
ミネルバネオで働いています。
30代半ばを過ぎてしまいました。
よく聴く音楽はプリンス、レディオヘッド、シールなどです。
親戚は人間国宝(陶芸)です。ちなみに私の父方の祖父も陶芸家でした。

・当ブログの内容について、無断掲載、転用を禁じます。

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