石橋 武の「多読乱読、言いたい放題!」071
私が今まで読んだ本のうち、印象に残った本を紹介しています。
● 筒井康隆『壊れかた指南』
2006年上梓。
変幻自在である。一般的な小説、と私たちが考えるもの、そう考えることに何の違和感も持たないものも、確かに数編紛れ込んでいる。しかし、それとて、解説氏曰く「怖い」。どこか尋常でない部分が、分かる人には分かるように書かれているそうだ。
この作品集に収められているものは、どれもそれなりに面白いのだが、心に奇妙な引っ掛かり方をした一編をあげるとしたら、『御厨木工作業所』だろう。一見、どこかの下町にありそうな普通の木工所なのだが、そこで交わされる「おう。ビアスが来るんだよ」で始まる会話が尋常ではないのだ。ビアスと言えば、1876年に死去したと言われている『悪魔の辞典』の作者だ。つまり、「木工」でもってタイムマシンを製造している。しかもアメリカとの共同作業で。この「下町の木工所での日常会話」というものと、科学の粋の結晶のような「タイムマシン」というものが持つイメージの落差が不思議な笑いを生む。このあたりは、もう筒井康隆の独擅場と言っても過言ではないだろう。
★モシャの呟き
タイムマシンに乗りたいとは思いません。私は機械音痴なので、違う時代に行ったはいいが、帰ってこれなくなりそうです。
なので、もしも乗る機会があるなら、必ずドラえもん同伴でお願いします。
● 筒井康隆『壊れかた指南』
2006年上梓。
変幻自在である。一般的な小説、と私たちが考えるもの、そう考えることに何の違和感も持たないものも、確かに数編紛れ込んでいる。しかし、それとて、解説氏曰く「怖い」。どこか尋常でない部分が、分かる人には分かるように書かれているそうだ。
この作品集に収められているものは、どれもそれなりに面白いのだが、心に奇妙な引っ掛かり方をした一編をあげるとしたら、『御厨木工作業所』だろう。一見、どこかの下町にありそうな普通の木工所なのだが、そこで交わされる「おう。ビアスが来るんだよ」で始まる会話が尋常ではないのだ。ビアスと言えば、1876年に死去したと言われている『悪魔の辞典』の作者だ。つまり、「木工」でもってタイムマシンを製造している。しかもアメリカとの共同作業で。この「下町の木工所での日常会話」というものと、科学の粋の結晶のような「タイムマシン」というものが持つイメージの落差が不思議な笑いを生む。このあたりは、もう筒井康隆の独擅場と言っても過言ではないだろう。
★モシャの呟き
タイムマシンに乗りたいとは思いません。私は機械音痴なので、違う時代に行ったはいいが、帰ってこれなくなりそうです。
なので、もしも乗る機会があるなら、必ずドラえもん同伴でお願いします。